航空管制官を理解するにはまず飛行機がどうやって動いてるかを説明しなければなりません。どうやって、というのはパイロットがー!とかジェットエンジンがー!とかの話ではありません。
航空機はどのようなルールに従って空を飛んでいるのか、という話についてです。
ルール?パイロットが自分でお客様第一主義で安全に飛ぶだけでしょ!という声が聞こえてきそうですが続きを書きます。
例として、近頃成田空港に久しぶりに帰ってきたイベリア航空でスペイン旅行に出掛けましょう。そんな贅沢旅行の暇もお金もないですが、どうか妄想にお付き合いください。すでに飛行機への搭乗も終え、長い長いフライト時間に向けて居眠りを始めました。機内アナウンスはぎこちない日本語だったので子守唄に持ってこいだったのですが、うつろうつろしてる内にウィーンとゆっくりエンジンが回る音が聞こえると飛行機が動き始めました。
ここで航空クエスチョン!!この時、飛行機を動かしているのは誰でしょう!!
ここぞとばかりに手を挙げて「管制官!管制官!」なんて言ってるあなたは良い読者です。そういう方にこそ僕は声を届けたいのです。
答え:飛行機を動かしているのは車です。
実は飛行機が最初に動くときは、トーイング車両と呼ばれる飛行機を押したり引っ張ったりする特別な車が対面で押し出しているのです。なぜならここ大事→飛行機はバックができないからです。実際は逆噴射で本気出せばバックできますが、旅客ターミナルビルの窓ガラスがビリビリするし、飛行機の周りで作業してる人たちは一斉に逃げ待とうことになります。飛行機のエンジンってそれくらい風圧激しいのです。
目次
※詳しい方には若干説明が足らない部分もありますが、本質は管制官の仕事内容の説明となりますので個別の空港等の例外は外します。知識欲旺盛なあなた、優しい説明は今だけですからもう少々お待ちください。
再び妄想に戻ります。
なんかよく分からないけど、とりあえず飛行機が真っ直ぐ走ってます。一体どこに向かってるのかも分からないまま10分、20分待てども飛行機が飛ぶ気配がありません。いい加減日本出たいわーと思い始めた頃ここで、再びぎこちない日本語でアナウンスが入りました。
「ワタシ達いま10番目にリリク待ってます。リリクまでアト30分くらいデス。」
キャビンはどっとため息模様。まあでも安全のためには仕方ないか、なんて根拠の無い思い込みで気を紛らすのが精一杯です。
— 妄想疲れにより中略 —
— INTENTIONALLY LEFT BLANK —
そんなわけで無事に滑走路から離陸しました。
そんなわけでスペイン着きました。
航空管制官は今の流れの全行程においてパイロットに無線で指示をしています。
裏を返すと
パイロットは今の流れの全行程において航空管制官に無線で指示を貰っています。
これが、パイロットと航空管制官のコミュニケーションにおける基本的な立ち位置です。
飛行機は自分の好き勝手には飛べません。パイロットが好きに動きたいときは、管制官にその指示を言わせるように促すのです。自分が操縦する飛行機なのに、今ここでこうしたいと思っても最初に操縦してはならないのです。
航空管制官とパイロットの関係って、実生活に置き換えると片側1車線を工事で塞がれているときの交通整理員とドライバーの関係と全く同じなんです。違うとこは無線でいつでも話せる状態にあることと英語を使うということくらいです。航空管制官は空の交通整理員、と称されるのもごもっともです。ドライバーさん、いくら交通整理員さんが効率悪い旗の振り方をしてるからって、煽ったりしないでくださいね。
今日はここまでにしておきます。
毎日更新していきますので、どうぞ末長いお付き合いをお願いします。
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