航空管制官に必要な能力のひとつが、ストレス耐性です。海外の代表的な航空管制組織ではチームワーク、柔軟性、コミュニケーション能力、判断に動じない心、論理的思考、といった点を必要なスキルとして主に挙げていますが、無線交信中の緊張感とプレッシャーに加え、航空管制官というプロフェッショナルな専門職にも一般社会と同様のサラリーマン的な厳しさが付いて回りますので、個人的にはストレス管理は重要な気がします。
目次
5分でできる職場のストレスセルフチェック
航空管制官の現役時代を思いだしながら、厚生労働省が運営するこころの耳 – 5分でできるストレスチェックを実際にやってみました。実際は2分くらいで終わる簡単な質問なので、ぜひ一度お試しください。境遇を客観的に見る良い機会です。
ストレスはあまり感じていない、つまりあなたのストレスは平均レベルからすれば大したことはない、という結果のようです。
ストレス耐性が強い人の特徴
- 自分を過大評価せずよく理解できる
- 他人を下に見ず公平に理解できる
- 感情と行動をコントロールできる
- 目標やノルマにつぶされない
- 人間関係が良好に保てる
- 支援や援助を上手に受けることができる
- 何があっても堂々と余裕ある行動がとれる
引用: ひかる人材プロジェクト
航空管制官のストレス耐性とは
管制官のチームワークとは、例えるならスポーツ代表団。航空管制官もオリンピック選抜ほどではありませんが、国家公務員試験とその後の研修や各官署での訓練をくぐり抜けて選ばれた日本代表です。代表チームには老若男女が集い、相手の動きを瞬時に察知して走るのも速い若手から、経験で得た裏付けある戦略で負けない試合運びをするベテラン(管制官の場合、年齢については逆転現象も見られますが)、様々な個性ある選手が集って飛行機の安全を守るために力を合わせているのが航空管制です。
すると、意見が衝突するときもあります。この試合展開で右にいくか左にいくか、どっちが正しいか微妙に分からないときは、個々の予想が割れるなかチームの方針を決めなければなりません。誰だって試合には負けたくない右か左かとても重要な判断ですが、最終的にボールを蹴るのは一人です。はい、突然ですがスポーツ競技をサッカーという設定にいま決めました。
ボールを蹴る人が最終的には判断しなければならないので、自分にはこっちが正解、と押し通す自信が必要です。その予想で行ける自信がなくてはチームを説得することは出来ません。かといって突っ張り続ける必要もありません。プレー(交信)の負担になるくらいなら、チームに流されるのも正解です。
かく言う私も、「お前一人でやってるんじゃないぞ。」と真顔で上司に言われたことがあります。パスを受ける相手の負担も考えて、ときには緩めることも大事ということです。
比較的交通量が少ない地方の空港であれば、個人の判断で自分のやりたいように航空機の動きを考えて指示できるときもありますが、誰しもチームの長と意見がぶつかる経験をしているはずです。
失敗も嫌なことも過去は過去。
早めの応急処置できっぱり忘れることをお勧めします。
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