航空管制官

管制官の変な日本語表現

管制官用語集日本語

どこの業界、会社単位でも自然発生的に略称や独自の言葉というものは生まれるものである。言葉は時代とともに変化していき、環境とともに意味すら変わってくる。航空管制官となると英語ばかりに話題がいきがちだが、あえて日本語に焦点を当ててみた。

航空管制官しか伝わらない動詞の活用13選

  • 転がる
    滑走路上の航空機が離陸を開始すること。英語でTake-off rolling(テイクオフ; 離陸)と言うので、ローリングを直訳して”転がる”。

例)早く転がって!
出発機に離陸許可を伝えたが手間取ってるか何かで離陸を開始しないとき、到着機が滑走路に近づいてくればくるほど思わずこの声が出る。

  • 浮く
    離陸滑走中の飛行機が浮遊することを指す。英語でリフトオフと言う。ローテーションと混同されやすいが、ローテーションは機首上げ、引き起こしを意味する単語。

例)早く浮いて!
上記、早く転がって!の気持ち届かず、出発機が離陸滑走中なのに到着機が滑走路のすぐ近くまで来てしまったときにテレパシーを送る。滑走路上に飛行機がいても浮きさえすればこっちのもの。

  • ミスる
    失敗することではない。進入復行、という航空機が着陸しないことを判断したときに進入やり直しのために公示された経路で飛行することを言う。英語でMissed approachと呼ぶので略してミスるになった。
  • 抑える
    上昇する航空機を一定高度に維持させること。

例)ミスったら5000に抑える
飛行機が進入復行したら上昇は5000フィートで止める。

  • 叩く
    航空機に降下指示を出すこと。飛行機を上から叩いて下に降ろすイメージ。

例)出発5000で抑えてるから到着6000叩いて
出発機は5000フィートまでしか上昇しないから、到着機は6000フィートまで降下させて。

  • 来る
    パイロットから呼び込みがあること。
  • 行く
    パイロットが周波数から離れること。

例)「パイロット行った?」「来た!」
ここまでくるともはや意味不明の会話である。パイロットに次の管制官と通信移管(=コンタクト)するように指示した後に、実際そのパイロットから呼び込みがあったか確認するやり取り。コンタクトは指示して終わりではありません。次の管制官に呼び込むまでがコンタクトです。

  • 貰う(頂戴する)
    自分の周波数にパイロットを呼び込ませること。
  • 渡す(あげる)
    他の周波数への通信移管を指示すること。

例)「その飛行機、頂戴!」「もう渡した。」
飛行機グッズを目の前に子供がデパートで言うセリフに思えるが、もう渡したよの返しが全くわからない。管制塔から飛行機は小さく見えるしレーダーで見たら点なので、自然とモノ扱いしてしまうのが管制官業界用語の性質である。飛行機、頂戴!は自分が指示したい飛行機の呼び込みがまだないときに、いま通信しているであろう管制官から自分へコンタクトさせること。もう渡した、はすでにコンタクトの指示はしてある(パイロットが呼び込んでないだけ)という意味になる。

  • 入れる
    滑走路内で飛行機を待たせるラインナップや、車両の滑走路内走行を指示するときに使う言葉。「滑走路に飛行機を入れる。」やはりモノ扱い。
  • 出す
    出発許可を与えること。
  • 降ろす
    着陸許可を与えること。飛行機を降下させる、の意味でも使う。

例)「入れるか迷うけど、出さないで降ろす。」

ラインナップさせるか出発機は滑走路の手前で待たせておいて、進入する到着機を着陸させる。

  • 当たってる
    このまま飛行させたままだと飛行機と飛行機が近づいて管制間隔を切る、という意味。実際には当たってない。先のことを予測している管制官同士の頭の中では”当たってる”のであろう。

まだまだユニークな表現はあるし読解不可能な地方の表現は計り知れない。この用語集の解説から何となくでも管制官の心境が伝われば幸いである。

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