昨日の続きです。トーイング運転手の影の努力について説明いたしましたが、最後に質問を残したままでした。
トーイング運転手から地上管制席管制官への質問
目次
私はトーイングをしている時、航空管制官とパイロットの通信の邪魔にならないように気を使っています。到着した飛行機が滑走路から離脱するシーンを見つけた場合なんかは、特に呼び込むのを控えるようにしています。だってもし私が長々と無線で喋ってしまったら、その到着した飛行機とグランドさんの通信を遮ることになるからです。このような気遣いが逆にやりにくいと思うようであれば教えてください。
気遣いってとても難しいですよね。みなさん相手のことを気遣うつもりで、自発的に何かしてあげたり声を掛けたりしているはずなのですが、相手の受け取り方は相手にしか分からないもので、それが余計な負担に思われることだってあるわけです。
何もしないことが正解な時もある。
そういうことだってありますよね。トーイング運転手さんも気遣い上手を目指して頑張ってください!
ということで、まとめにして終わりたいのが本音です。なぜならこの質問にはこれからこうすれば大丈夫、という答えは存在しないからです。
航空管制官はみな技量は確かですがやり方は人それぞれです。
言うなればそのエリアを担当する管制官というのは、同じ無線周波数帯にいる飛行機やトーイング運転手を操る指揮者です。
指揮者はとても個性があります。
演奏者にだって個性があります。
でもきっと良い演奏を奏でられるときっていうのは、双方にシンクロしてるというか調和がとれているというか、
指揮者と演奏者は音でコミュニケーションが取れているんでしょうね。
、、、音楽家気取りはここまでにして真面目に答えます。
飛行機の呼び込みがあるだろうから、あえて自分が通信をしないというのは一つ落とし穴があります。それは、その飛行機への指示が終わったから次は自分の番になるという保証がないことです。管制官は管制塔で広い範囲を見渡しているので、次にどの飛行機に何を指示するべきかというのは把握しています。
トーイングも自走機も同じです。地上面を走行するトーイングの動きを見て、このタイミングで呼び込みが来たらこう指示しよう、と管制官はすでに考えています。いつも必ず、というわけではありませんが。
通信が静かで全く混雑していない時間帯であれば、そのトーイング運転手さんの気遣いは管制官にとってありがたいケースになることが多いかと思います。ですが混雑しているときは、今しか聞ける時間がないからトーイングに現在地と行き先だけでも言って欲しい場合もあるかもしれません。
結局のところ管制官本人じゃないと分からないから考えても無駄なので、基本的には原則にのっとって管制官のエリアに入る手前で通信設定してもらってOKです!
と、いうのも正解じゃない時があるのが人間です。
航空管制官には様々なルール、手順、方式等が決められていて、それを守リながら仕事をしています。ですが今日のお話から分かる通りみんなが同じではありません。
いえ、同じ人でも状況が違えば同じ対応にならないこともあります。
航空管制官の通信は普通の人と人とのコミュニケーションと同じです。
ATCはAir traffic communicationの略だと思って差し支えありません。
ですが、会話とは気遣う気持ち無くしては成り立たないものなので、どうかそのままご自身の思うやり方でこれからも管制官と接する中で正解を見つけてください。
回答は以上です。
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