あなたが搭乗した飛行機が遅れたとき、知らなければちょっとイライラ、知ってればちょっと先の予想ができるようになるかもしれないお話です。
飛行機が予定より遅れる理由はたくさんあります。例を挙げていくと、
- 天候の悪化や天災
- 滑走路閉鎖
- 航空機整備等、航空会社側に起因する遅れ
- 旅客に起因する遅れ
等が通常考えられます。
目次
他に遅延の理由として思いつくものは?
あの乗り物が遅延する理由を天候不良以外で考えてみてください。
管制官、パイロット含め誰も遅れることは望んでいません。予定されたスケジュール通りにいつもと同じく交通が流れてくれることが何よりもありがたいのですがそうはいきません。
どの航空会社も利益を出すために競い合っているという当たり前の構図により、この遅延理由を止める手段がなかなか出せずにいます。その理由とは、
ピーク時間帯に飛行機が過密するため
意外な答えだったでしょうか。天気が良くても交通が過密すればどうしたって遅れます。そもそも航空機の運航というのは、空港の処理能力の許容量を考慮した上でなるべく多くの飛行機を離着陸させられる限界値でスケジュールを組んでいる時間帯があり、上記の代表的な遅延理由によるわずかな遅れの積み重ねがピーク帯の交通量の増大につながります。
しかも、混雑するのは何も空港だけに限ったことではありません。
空港を出て飛行機が雲のうえを突き抜けた広々としたその景色、実は肉眼で見えていないだけで周りは飛行機だらけかもしれないのです。
はるか上空の飛行機がどんな風にレーダーで見られているか、覗いてみましょう。
これは日本地図上に勝手に切り分けた管轄(= セクター分け)を加え、そこを飛行する航空機の様子を表しています。管制官が守るべき飛行機の間隔について以前は説明しましたが、その一定距離をキープするというのは簡単なことではありません。
この図に出てくる青い飛行機は東京から大阪引き継がれています。東京のエリアを担当している管制官は次の大阪セクターの負担にならないように、管制間隔よりも少し広めの距離をとりながら手渡し(= ハンドオフ)ています。
管制官は自分が扱う飛行機を次の相手に通信をバトンタッチすることはお話しましたが、なんでもかんでも次のセクターに通信移管をすればいいわけではありません。
通信移管の原則
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航空機を次の管制官にハンドオフするときには、関連機との安全性が保たれていること
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自分のセクターを出る頃に通信移管を指示して相手のセクターに入るまでには完了していることが望ましい
そんなところでしょうか。
ちょっと話が飛躍してしまいましたが今日お伝えしたかったことは、
今の天気、今の交通状況だけが遅延を引き起こす原因ではない
ということです。国際線に関してはハンドオフをする相手国との取り決めもスケジュールに大きく影響します。相手国が悪天などの理由で入国する飛行機の数を制限している場合、自国の飛行機の出発を遅らせるしかありません。
早く離陸しても上空で旋回していたずらに時間と燃料を消費するなら誰も得しないからです。
そこまで計算して空港で時間調整に協力して頂いてるにも関わらず、突然の交通の乱れによってはさらに遅延を余儀なくされる、そんなことも航空の世界じゃ日常茶飯事です。
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