航空会社と空港会社と国土交通省(航空管制)の三角関係

「あなたは何の仕事をしていますか」と尋ねて「空港で働いている」と聞くと、航空会社に携わる仕事を思い浮かべるのが一般的だろう。空港という場所があって航空会社がそこで航空機を運航していることは誰にも想像しやすい。パイロット、CA、整備士、チェックインカウンターのスタッフ、航空機周辺で様々な車両を用いて運航を支える仕事などもある。航空会社の利益は旅客が支払う航空券代金を原資に人件費、燃料代、機体や部品の購入費、機内食、空港で使用する様々な設備投資、空港の使用に対し国や空港会社などに支払う空港使用料を差し引いたものとなる。

さて、冒頭の質問に対する回答だが、航空会社以外にも空港(ターミナルビル、滑走路、誘導路なども含む)という場所を管理する空港会社と関連会社、航空管制官や国際空港なら出入国管理、検疫、税関などの国家公務員、警察や警備員、様々な商業サービスや空港と都市間のアクセスを支える鉄道やバス会社など無数の仕事が挙げられる。特に普段飛行機を利用していても直接接することがない空港会社・航空管制と航空会社との関係性を分解し、航空業界の概要を掴んでいただきたい。

空港会社は何をしているのか

日本の空港は多くが空港ターミナルビルを管理する空港ビル会社と、滑走路、誘導路、エプロンを管理する国や地方自治体で分担して運営されているが、ここでは分かりやすく成田空港株式会社や中部国際空港株式会社など一体運営している空港会社を例にとって説明する。航空会社にとってのお客様は当然旅客機に乗る旅客のことを指すが、空港会社のそれはターミナルビルで飲食、物販などを利用する消費者と航空会社である。航空会社は自分達が所有する飛行機をどの空港に就航させるか自由に選べる立場にある。航空会社が路線計画を練る際に考慮する要素は多数あるが、一義的にはその国の首都圏や有名な観光地など旅客需要が高い地域に近い立地が決定打となる。その他、就航可否の判断材料の一つに空港使用料がある。空港会社は空港を維持する多額の費用を賄うため、空港を使用する航空会社から空港使用料を徴収している。空港使用料は滑走路の着陸一回当りで発生する着陸料、駐機料、特殊設備の使用料、チェックインカウンターの賃料など細かく分類されており、航空機の運航コストに跳ねてくるため航空会社と空港会社間では就航の検討に当たりシビアな交渉事となる。

空港会社はなるべく多くの航空機、旅客に利用してもらえるよう国内外の航空会社を呼び込むことで利益が拡大する。航空会社は空港会社とともに旅客を増やすため連携する関係にある。それでは航空管制は両者にどのような影響を及ぼすのか。

航空管制は航空会社と空港会社に何をもたらすのか

航空管制官は飛行機の安全と効率を最大限に高めることが求められている。航空会社にとっては運航の安全性とスケジュールの定時性の要であり、空港会社にとっては定時制を確保し航空機の受け入れ容量を増やすキードライバーといえる。さらに航空管制官が所属する航空局は、航空会社から航行援助施設使用料を航空機の重量に応じて徴収し、航空無線や空路の設定、着陸誘導時にパイロットの飛行を支援する地上設備などの航空保安無線施設を維持管理している。航空管制運航情報官や航空管制技術官の業務もこれに含まれる。つまり、国土交通省は航空会社、空港会社とともに航空交通を支えるインフラの一部なのだ。

言うまでもなく、観光産業の促進と地域の生活の足として航空交通は重要である。航空会社と空港会社と国土交通省(航空管制)はそれぞれ別組織ではあるものの共に経済を支える三角関係にある。