航空管制官とパイロットの交信はいくらでもインターネット上で探して聞くことは出来ますが、航空英語を知らずに聞いても内容、状況はさっぱり掴めません。今回ご用意したYoutube動画は、無線交信の英語字幕だけでなく、空港のレイアウトマップや航空機の動きがCGで再現されていますので、初めて航空管制官の用語を聞く人も、行き詰まって落ち込み気味な訓練生や航空保安大学校の学生さんも、この航空無線を実例から学ぶ集中講座でライバルに差を付けよう 😛
目次
カナダのトロント国際空港、滑走路誤進入の無線交信と3Dビジュアル
2016/7/28
SKV7667便(エンブラエル175型)はカナダのトロント空港(CYYZ)からアメリカのダラスフォートワース空港(KDFW)へ向かう出発便。相手機はエアカナダ航空062便(ボーイング787型)で、韓国のインチョン空港(RKSI)からトロント空港に到着するところ。SKV7667は出発のためRunway23に向かう指示に従っていたが、突如、誘導路を曲がり損ねてACA062が最終進入中の滑走路に誤進入する事例。
パイロットが許可された地上走行ルートと違う道に行くことは良くある。道を間違えたパイロットは、止まって管制官を呼び出すか、黙ってどんどん進むか2種類。管制塔の上から見ていると単純に見える誘導路だが、エンブラルなどの小型機では路面の看板やサインが分かりにくいこともある。
サンノゼ国際空港で起きたアメリカン航空597便のギアトラブル
2016/1/14
アメリカン航空597便(エアバス319型)は、アメリカのフェニックス空港からサンノゼ国際空港へ向かう国内定期便。滑走路への最終進入中、ガルフストリーム機が離陸を急いでいたが、AAL597がギアプロブレムで着陸復行を要求したため、離陸許可を取り消して緊急停止した事例。
最終進入機が滑走路まで3マイルの時点で、まだ離陸滑走を開始できていない出発機。これは平常心を保つギリギリ。そこで予想していなかったパイロットの要求による着陸復行。本来、離陸滑走中の航空機を停止させるのはStop Immediatelyという用語だが、Cancel take off clearanceと言い、到着機にはGo Aroundという肝心の指示を言っていないあたり動揺が隠せていない。AAL597を左旋回させながら自分で目視間隔を維持する方法ならガルフストリームは離陸を継続できたが、管制官は安全確保が最優先。平常心が崩れているときに深追いしてはならない。
シドニー国際空港YSSYの悪天候
2016/6/5
METAR YSSY 041800Z 06023G35KT 5000 RA FEW007 SCT011 BKN030 19/18 Q1004 FM1900 06020G30KT 9999 -SHRA FEW010 SCT020 BKN030 TEMPO 1800/2100 3000 SHRA BKN010 FM1800 MOD/SEV TURB BLW 5000FT
シドニー国際空港の天気を記号の解読だけで実況してみます。METAR(飛行場実況気象通報式)によりますとシドニー国際空港は、世界標準時の6日18:00現在、滑走路付近に60度方向から風速23ノット、最大風速は35ノットの強風で、視程距離は約5000メートルでしょう。降水を伴いながら、高さ700フィートに少量の雲、1100フィートにもやや濃いめの雲の層が出来ており、3000フィート付近は雲で覆い尽くされています。なお、気温は19度で露点温度は18度です。もやがかって管制塔から外は見えづらい状況でしょう。QNHは1004ヘクトパスカルです。
なお、1時間後の19:00世界標準時からの予報は次の通りです。60度方向から平均で20ノット、最高風速は30ノット。視程は10km以上に回復し見渡しが良くなりそうです。軽めのシャワーレインで雲の高さは薄めが1000フィート、普通が2000フィート、濃いめが3000フィートと大した変化ではありません。
18:00~21:00では、時々次の気象状態になるかもしれません。視程3kmでそこそこのシャワーレイン。濃いめの雲は1000フィートに降りてきて、到着機は滑走路まで3マイルくらいの位置まで雲に覆われて見えないでしょう。激しめの乱気流が5000フィートで発生しています。
薄め、激しめなど、後半の解読に雑な表現が含まれておりますが、「雲量 オクタス」などでお調べ頂けば、解説を避けた理由をご理解頂けると思います。濃いめに学びたい方は、「METAR 読み方」と検索することをお勧めします。
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