初めて飛行機のチケットを買ったときは、空港に行った後にどうすればいいか誰もが不安なものです。特に国際線では、チェックイン、保安検査、出入国審査、税関、免税エリアを抜けて搭乗ゲートまで、パスポートを握りしめて右往左往する旅客を良く見かけます。日本の空港なら誰かに聞けば何とかなりますが、海外の空港では英語が出来なきゃ頼りになるのは案内標識や看板だけです。
しかし、スマート空港が実現すればそれらは昔話になるでしょう。次々と新しくなる空港IoTの最新情報をまとめました。
目次
自動チェックイン機、自動搭乗ゲートで飛行機にかんたん搭乗
国際線に乗るときに面倒なことは、並んで待つこととパスポートと搭乗券をその都度見せなければいけないことです。それもこれも、パスポートと搭乗券の持ち主を照合したり、搭乗する便の日時が合っているかどうか確認したりするためです。
スマート空港では、旅客に面倒なことはやらせません。まず、パスポートを取得したら専用のアプリをインストールし、スマートフォンにパスポートの情報を読み込ませます。もうこの時点で、パスポートの情報はスマホの中に取り込まれるので、パスポートはバッグの中から取り出す必要が無くなります。
空港に着いたら自動チェックイン機に向かい、購入した航空券の情報を入力するかQRコードで読み込ませます。危険物は持っていないかなどの簡単な質問にタッチパネルで答え、座席を選択したらチェックインは終わりです。尚、この作業は自宅でインターネットを使えば空港に来る前に済ませられます。
次に自動手荷物預け機へと向かいます。日本ではANAが先駆けて導入していますが、セルフバッグドロップという荷物を預けるベルトコンベアと一体型の機械です。自動チェックイン機から出た搭乗券か、スマートフォンのQRコードを読み込ませれば、預け荷物のスーツケースに巻き付ける手荷物タグが出てきますので、それを取り付けたら荷物をベルトコンベアに載せて終了です。タグの付け方が合っているかちょっと不安になりますが、タグにプリントされているバーコードさえ外に出ていれば、無事に飛行機へ搭載されます。
預け荷物の手続きが終わった後は、機内に持ち込む手荷物検査を受けるため保安検査場に向かいましょう。免税店で過ごす楽しい時間まであと一息です。保安検査は、まだ完全な自動化が出来ていません。面倒ですが、パソコンを取り出したりトレーに荷物を載せたりしてくぐり抜けてください。
その先にくる出国審査は、もはや一瞬の出来事です。これまでは入国審査官がパスポートの写真と目の前の人間の顔が同じか見たり、氏名と国籍で要注意人物かどうか照合したり、自動化した今からすれば何ともレトロな方法で審査していましたが、顔認証技術、生体認証、指紋認証などを使った出入国の自動化ゲートを使えば、変装名人も簡単に見破られます。自動化ゲートに入ってカメラを見つめるだけで、あっという間に審査は終了です。
後は、免税エリアをぶらぶらしてからセルフ搭乗ゲートをくぐるだけ。日本でも一部でセルフ化、自動化は進んでいますが、法整備や個人情報の取り扱いなどの問題から欧米に比べて導入が一足遅れています。国際線に乗るときには2時間前に空港へ到着しましょう、という常識は既に過去のものとなっています。
AR(拡張現実)を使いチェックインの行き先や施設情報を3Dで表示
スマート空港で搭乗方法が簡単になったことは理解できても、空港が広すぎて実際にどこへ行けばいいか分からないという悩みがまだ残っています。空港IoTはそんな悩みも一発で解決します。スマートグラスを装着するか、スマートフォンでビデオを撮るように周りを映し出せば、空港内の施設の情報もあなたの次の行き先も表示してくれます。
AR(拡張現実)を使った案内表示は、まるでSF映画のような風景です。案内標識やテナントの看板だけでなく、様々な広告や空港がある地域にちなんだ風景にアレンジしたりキャラクターを登場させたり、ARは多くの可能性を秘めています。
AR技術は、ターミナルで旅客のために使うではなく、グランドハンドリングの業務を支援するためにランプ(エプロン)でも利用されます。給油作業や貨物の搭載の状況を示したり、旅客の搭乗やプッシュバックの開始なども知らせたり、といったことも可能になります。
画像解析で挙動不審な人物を特定したり、ホログラムで3Dの人物を映し出してインフォメーションの代わりにしたり、チェックインロボットが旅客を出迎えて荷物を搬送してくれたり、とスマート空港には紹介しきれないほど多くの新技術があります。
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