リモート(コントロール)タワーが普及すると、管制塔は大規模空港にしか残らず、地方空港の管制塔は航空交通管理室程度に変わるかもしれません。世界では空港にある現管制塔をコントロールタワー、バーチャル映像を見ながら飛行場管制する部屋をリモートタワー、と明確に管制施設の名称として使用しています。
目次
リモートタワーとは
Searidge Technologies(シーリッジテクノロジーズ)は世界で初めて、カメラやセンサー等を利用したバーチャル映像で飛行場管制業務を提供するテクノロジーを開発しました。カナダの首都オタワ市にあるソフトウェア企業で、Searidge Technologiesには「イノベーションテクノロジーを駆使して世界の空港場面(地上表面)管理の改善に身を捧げる意欲と知性に溢れる人」しかいない、と書かれています。カナダを中心に、海外でも航空交通管理の改善に10年以上寄与する実績があり、2010年にカナダの航空交通サービス機関ANSPs(Airports and Air Navigation Service Providers)と民営化管制組織のNAV CANADA(日本の航空局に当たる)が持ち株の半分を購入した後も、シーリッジテクノロジーズは変わることなく世界に独自開発で技術革新を届けています。
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リモートタワーの仕組み
リモートタワーは、高性能のカメラ、センサー、レーダーを空港場面に設置することで、管制塔から肉眼で見ているかのようなバーチャル映像を映し出す機能を持ち、航空機の位置やフライト情報を視覚化して表示したり、滑走路上の異物を感知して警告を出すことも出来ます。
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空港の混雑具合と滑走路本数に対応するリモートタワーの種類
日本国内の空港を比べても分かりますが、定期便の就航数、滑走路の本数や配置は空港の規模で異なります。いくらシステムが優れているとはいえ、不具合が生じた場合は人命に関わる事態へと発展するので、バックアップのことまで考えれば大規模空港の遠隔管制は現実的ではありません。
航空交通繁忙度低、シングル滑走路リモートタワー
リモートタワーに世界が期待する理由は、管制塔の建設費用と人件費を抑えたいからというのが本音です。安全面強化も大きい要素ではありますが、バーチャルコントロールルームで見る空港の画面を切り替えて、各空港の飛行場管制を一箇所で行える環境を作ること、ここに大きな狙いがあります。
追加機能
- Intelligent video-based safety nets
- Video analytics to assist with managing traffic in a video-based environment
- Utilization of thermal infrared (IR) technology to provide an enhanced view to controllers
- Future proofed investment for multi-site concept of operation
航空交通繁忙度高、複数滑走路リモートタワー
繁忙時、航空管制官は目の前の対応と先の予想で頭がいっぱいです。そんなときは、人間が意識して航空機の動きを監視するよりも、IoT技術やセンサーで航空機がプッシュバックしたときに知らせを出すくらいの方が確実ですし、監視に向けるストレスが軽減されます。
追加機能
- Runway Incursion Monitoring and Collision
- Avoidance System (RIMCAS) augmentation to maximize positive detection & minimize false alarms
- Advanced-Surface Movement Guidance and Control System (A-SMGCS) gap filling
- Approach monitoring
- Real-time push-back notifications
- Customized heads-up display and automation features
最後は、マルチ空港管制を行うオペレーションセンターのイメージ図です。
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