航空無線

航空管制用語のリスニング付き必須英語30個を実践解説

基本的な英単語の中には一部、その意味や例文を一つ二つ見ただけでは分からない、英語ならではのニュアンスや使うシチュエーションがあります。航空管制用語には決められた定型文がありますが、それだけでパイロットとの意思疎通は出来ません。

また、聞き取りづらくて勘違いを産みそうな英語表現は航空無線で好ましくないということで、あらかじめ世界共通で下記の表にある単語と意味が正式な文書で定められています。

使いどころが分かりづらい点は補足をしていますので、スマートフォンの方は画面を横にして一度読んでみてください。

 

航空管制用語の必須英語30

航空無線用語 英語の説明文 用語意味補足
ACKNOWLEDGE “Let me know that you have received and understood this message.” 応答してください。
AFFIRM “Yes.” はい、そうです。
APPROVED “Permission for proposed action granted.” 要求に対し、その通り承認する。
BREAK “I hereby indicate the separation between portions of the message.” 送信に区切りを入れるとき。
BREAK BREAK “I hereby indicate the separation between messages transmitted to different aircraft in a very busy environment.” 話してる途中ですが、あなたより優先する通信があるからここで打ち切って、ブレイクx2以降に話すことは他機への指示や情報です。
CANCEL “Annul the previously transmitted clearance.” 送信内容(指示、許可)を撤回します。
CHECK “Examine a system or procedure.” チェックはそのままの意味ですが、応対を期待しない用語です。
CLEARED “Authorized to proceed under the conditions specified.” 条件(公示された方式や管制官が付加した制限)に沿って進行を許可します。
CONFIRM “I request verification of: (clearance, instruction, action, information).” 例)Confirm  next frequency. 確認のため(分からなくなったので)次の周波数を言ってください。
CONTACT “Establish communications with…” コンタクトは周波数を設定して通信を開始すること。
CORRECT “True” or “Accurate”. 正しいです。
CORRECTION “An error has been made in this transmission (or message indicated). The correct version is…” 言い間違えた!って思ったらこれを言って、改めて言い直します。普通に電話していてたまに言いそうになります。
DISREGARD “Ignore.” いま言ったの無しにして(通信消去)。
HOW DO YOU READ “What is the readability of my transmission?” この質問には通常、感明度(聞こえる度)を5段階で返答する。
I SAY AGAIN “I repeat for clarity or emphasis.” この言い方はネイティブには好まれないので、あまり使わなかったです。
MAINTAIN “Continue in accordance with the condition(s) specified” or in its literal sense. Maintain(維持する)は上昇、降下の用語に含まれているので、あまり使いませんでした。
MONITOR “Listen out on (frequency).” ※後で詳しく説明します。
NEGATIVE “No” or “Permission not granted” or “That is not correct” or “Not capable”. 「違います。」が、日本語のニュアンスでしっくりきます。
OVER “My transmission is ended, and I expect a response from you.” もはや死語です。トランシーバーで喋るときに、オーバー!?って言うあれと同じですが、今はGo Aheadを使います。
OUT “This exchange of transmissions is ended and no response is expected.” 通信が途切れた(遮られた)ときに、Cutting outって言ったりします。
READ BACK “Repeat all, or the specified part, of this message back to me exactly as received.” 通信の先頭、又は語尾に付けることで、送信内容の復唱を強制します。
RECLEARED “A change has been made to your last clearance and this new clearance supersedes your previous clearance or part thereof.” Cleared: 条件(公示された方式や管制官による制限)に沿って進行を許可します、と先ほど申し上げましたが、変更してRecleared以下の内要で再承認します。
REPORT “Pass me the following information…” ※後で詳しく説明します。
REQUEST “I should like to know…” or “ I wish to obtain…” 要求する。
ROGER “I have received all of your last transmission.” ラジャー(了解)は良く使う言葉ですが、イエスなのか理解しただけなのか、聞いてる側に明確でない状況ではAffirmやNegativeのを推奨します。
SAY AGAIN “Repeat all, or the following part, of your last transmission.” もう一度言ってください。聞き取れない部分が最後だけなら”Say again the last.”が親切。
SPEAK SLOWER “Reduce your rate of speech.” ゆっくり(もう一度)言ってください。
STANDBY “Wait and I will call you.” (後で呼ぶから)待っててください。
UNABLE “I cannot comply with your request, instruction, or clearance.” 出来ません。不可能です。
WILCO “I understand your message and will comply with it.” (管制官の指示に対して)はい、そう順守します。読み方はウィルコ。

引用元: ICAO Annex 10 vol.2 Aeronautical Telecommunications

※の解説

コンタクトとモニター、動詞の違い

コンタクトはパイロットが次の管制官に呼び込むまで含めてコンタクトです。コンタクトと指示されたパイロットは周波数を変えて、遅滞なく次の指示された管制官に呼び込む動作まで完了しなければなりません。ですが、すでに離陸待ちで10機くらい待っている列の後ろに並ぶパイロットが、タワーから離陸許可を貰えるワケがありません。そんなときは、周波数を変えて黙って管制官から呼び込まれるのを待つほうが、通信の邪魔にならなくて良いときもあります。そこで使うのがモニターです。モニターは次の管制官の声をラジオ状態で聞いてなさい、とパイロットに指示する動詞です。

 

待ち合わせするときは、リポート駅名

リポートは「通報する」という動詞です。航空管制用語のreportも一緒です。例えば、

管制官; Report speed.(速度を通報して。)

パイロット; 180kts.(180ノットです。)

この使い方ならすんなり理解できると思いますが、次に航空無線らしい使い方”Report + 場所(Fix)”の用例を紹介します。

管制官; Report TOKYO.(東京を通報して。)

パイロット; Roger, Report TOKYO.(了解、東京を通報。)

初めて読んだ方は意味不明だと思いますが、このReportどこどこって言い方は管制官なら必須の表現です。東京を通報して、というのは東京にきたら一声かけて、という意味です。

友達と東京駅で待ち合わせをしていて予定より早く着いたときは、近場のカフェに入ってこのReportを使うと便利です。早く着いたからリポート東京、って言っておけば、友達は電車を降りてすぐに電話をするはずです。友達からの着信を見るなりカフェから出て電話を取り、次の指示を出す段取りなら待ち時間も無駄にせず、すんなり待ち合わせができます。

Reportの使い方を例えるならそういう感じです。

管制官は先に先に指示を出せばよいものではありません。パイロットにリポートを指示しておいて、その通報がきた時点で追加の指示を出す、これもまたテクニックの一つです。

 

report

 

最後に航空無線用語のフレソロジーデータベース

の紹介です。これは航空管制官やパイロットが使用する用語の解説や例文が掲載されているうえに音声までリスニング可能なユーロコントロールが管理、公開するオンラインデータベースです。英語で書かれていますが使い方はとても簡単です。今日紹介した用語も全て網羅されていますし、もっと専門的な用語もたくさんありますので英語の勉強にもおすすめです。

フレソロジーデータベース”Say Again”

 

今日紹介した用語のリスニングをする場合は、下記画像を参考に選択してください。

say-again1

 

この記事では扱いませんでしたが、基本用語は31個あります。

 

say-again2

 

この設定以外にも使える英語表現がいっぱいあるのでCheckしてみてください。

 

say-again3

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1 Comment

  • Reply
    高橋央
    2021年3月14日 at 6:54 PM

    新型コロナウイルス緊急事態宣言下での航空英語聞き取り試験状況です。
    ・試験会場入口で非接触式体温計で発熱の有無をチェックされてから、マスク着用で会場へ入室します。
    ・試験開始時刻に会場のドアが閉められて、遅刻者は入室できません。
    ・受験者は3人掛けのテーブル中央に一人だけ座り、教卓にDVDプレーヤーが置かれています。
    ・試験会場は試験開始まで窓を開けて換気していますが、受験者が全員同意すれば窓を閉めて試験を行います。
    ・最初の15分は問題用紙の配布、解答用紙への受験番号などの記入と試験の説明があり、その後サンプル問題の音声が1-2回流されます。よく聞こえない場合は挙手をすれば、前方の欠席者席へ移動が許されます。
    ・試験の途中で咳やクシャミが出そうな場合は、飲料を口にして良いと指示されます。
    ・聞き取り試験本番は、過去問の音声と同様のペースで30分ほどで終わります。
    ・見直し時間が15分ほどあり、解答が出来上がった者から解答用紙を提出して退出できます。
    ・当日までコロナ感染などで体調がすぐれない受験者は、その旨を航空局へ申請すれば、受験日を後日へずらす事が認められました。

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