管制塔

上海虹橋空港の滑走路上で衝突わずか3秒差のローテーション

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上海・虹橋国際空港で中国東方航空MU5643とMU5106が滑走路の誤進入による重大インシデント

日付: 2016年10月11日
場所: 上海虹橋国際空港(SHA / ZSSS)
発生時間: 12:05(現地時刻)
航空機の種類: エアバス A320-200、A330-300
航空会社: 中国東方航空(両機)
死傷者数: 0人
飛行機の損傷: なし

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中国東方航空のフライトMU5643便(エアバスA320型)は、天津空港行きの国内線定期便。上海虹橋空港で離陸のため滑走路36Lへ進入した。上海空港の管制官からMU5643便に離陸許可が発出されたのは、重大インシデントの相手機であるMU5106便(エアバスA330型)が平行する滑走路36Rを離脱した頃。12:04、出発機が離陸滑走を開始し、到着機は滑走路の横断に差し掛かり、どちらも止まることなくMU5643は離陸滑走、MU5106は滑走路横断を続け、H3誘導路と滑走路の交差点上で急接近した。

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離陸滑走中のパイロットが危険を感じた時点で、すでに緊急停止ができないスピードに達していたため、前方を右から左へゆっくり走行する飛行機に対し、早めのローテーション(飛行機が浮遊すること)操作で回避に成功。機体間の距離はわずか13メートルだった。機長の判断があと3秒遅れていたら、1977年に起きたテネリフェ事故以来の大惨事となるところだった。

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©️ Jinghua

中国当局は航空管制官の指示間違いによるインシデントとして発表しましたが、

そんな簡単に誰が悪いか決められないのが航空機事故です。中国メディアによる報道は、Google翻訳で読む限り管制官のミスをA320の機長が防いだという論調でした。管制官がすでに横断を指示した航空機がいたにも関わらず、忘れて離陸許可を出してしまったのはその通りですが、メディアが乗っかるCAAC(Civil Aviation Administration of China)の報告に反して実態は、

A330 had been cleared to cross runway 36L at H3 about 36 seconds prior to the A320 receiving takeoff clearance, by which time the controller had forgotten about the earlier crossing clearance, the A320 crew had not yet been on frequency and therefore had not heard the crossing clearance.After the A330 crossed the hold short line tower called the A330 three times to stop, however, the crew did not listen. The crew also did not check whether the runway was clear prior to cross the hold short line blindly trusting in the ATC instructions. In addition, the cockpit voice recorder of the A330 was not secured and was found overwritten.

引用: The aviation herald/article=49f37b96

A330が滑走路横断の指示を受けたのはA320に離陸許可が発出される36秒前。そのとき、A320のパイロットは別の周波数にいたため、A330に横断指示が出ているのを聞いていない。上海国際空港の管制官は、A330が滑走路手前停止線を過ぎている(管制官は横断指示を出したことは忘れている)のを見て、A330に現在地で待機するよう指示を3回発出したがA330のパイロットは聞いていなかった。ときに、クルーは管制官の指示を盲目的に信用し、滑走路に入る前に安全かどうか見渡してチェックしない。加えて、A330のコックピットの声を録音したボイスレコーダーはセキュリティーで保護されておらず、すでに上書きされたことが分かった。

 

ならばA330は管制官から横断指示を受けた36秒後、

A320に離陸許可が無線で発声されているのを聞いてることになります。その後、管制官から3回呼びかけられても返答が無かったことを考えれば、実は36秒前に指示を貰った時点で無線をすでに切り替えていた可能性も出てきます。ルーズなパイロットはスポットまでの指示を貰ったら最後、どうせ何事もないだろうと考えて管制官の交信を聞かずに別の作業に入ったりするので、ちょっとこれは怪しいです。

その後の無線については、言及されていません。

 

※記録に基づいた再現動画です。

 

インシデントの実態は、空港慣れの怖さ

航空機のニアミスや事故は、決して特別な世界の事例ではありません。人間が誰しも陥るヒューマンエラーに起因することがほとんどです。中国東方航空のパイロットは上海虹橋国際空港を熟知していました。空港のマップはばっちり頭に入っているし、どんな指示がくるか言われなくても分かるくらいに。管制官は、外国人パイロットと違い指示のレスポンスが良いから信頼しがちになり、”慣れてるパイロット”に慣れてしまいます。

ヒューマンエラーを防ぐにはどうしても第三者の手助けが必要です。管制官とパイロットのコミュニケーションエラーは、その周波数を聞いてる者以外に止めることはできません。

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