航空無線

ニューヨークの着陸許可を聞いてみよう

滑走路番号説明

航空管制官の指示の内容をこのリスニング教材を使って、しばらくの間解説して行きたいと思います。

航空管制官を知るならまず通信を聞いてみるのが手っ取り早いです。こちらの音声はLiveATCという世界の空港の管制官とパイロットの無線通信が聞けるサイトの中から奇跡的に発見した、とても聞きやすくスタンダードな英語でやりとりをするニューヨーク国際空港(=ケネディタワー)の航空管制官とデルタ航空165便(= デルタ165)パイロットの無線通信です。

最初に呼び込んでくるパイロットはデルタ航空165便で、滑走路に向かって直進しながら降下(= 進入)しているところです。それに対して航空管制官はパイロットに着陸を許可しています。その後にパイロットは管制官に対して滑走路付近の風向きと風の速度について何度か尋ねています。結果、その到着機は進入を止めて着陸やり直しをするといって再度上昇して、また着陸しに空港へ戻って来ると言うシーンです。

早速、聞いてみましょう。

 

 

あなたが健全でそっちの人でないなら、何を言ってるかわからなくて正常です。これは単純な英語リスニング力のせいではありません。この文章を単純に訳したところで、飛行機や航空全般の知識がなければ何を表す言葉なのかも、定型用語はどこなのかもハッキリしません。

 

このブログの読者には航空無線を聞けるようになって欲しい

と僕は本気で考えています。

 

その第一歩としてまずは1分程度の通信を聞いて理解できるまでお付合い頂ければ幸いです。この試みは前人未到ですが航空管制官の仕事を説明するうえで声というのは避けて通れません。

「別にちょっと軽い気持ちで知りたいだけだったから、そんな突然英語の勉強だなんて…。」と引き気味に構えるそこのあなた、大丈夫!そういう人に朗報です。

飛行機の着陸許可を意味する用語は何とたったの3語です。ちなみに出発許可は4語です。まず次の音声を聞いてみましょう。そうやって覚えていくうちに気が付かなかった飛行機愛が芽生えるかもしれませんよ。

 

では早速ですが初日の今日は、前半部分のニューヨークの管制官が発出した着陸許可について解説します。

その部分だけもう一度聞いてみましょう。今度は航空管制官とパイロットが通信で話す英語の文章を書き出しておきましたので、文字を追いながら聞くことをお勧めします。

 

 

パイロット; Delta165, we’re joining the localizer RWY22L.
「こちらデルタ165便、滑走路(滑走路番号)22番レフトのローカライザー電波に沿って進入中。」

航空管制官; Delta165 heavy, Kennedy tower, caution wake turbulence from jet traffic 2-mile-final, cleared to land (runway) 22L, wind 310 (degrees) at 19 (knots).
「デルタ165便、こちらケネディー(ニューヨークJFケネディー空港)タワー、滑走路から2マイルの位置にいるジェット飛行機(先にいる到着機)の後方乱気流に注意して、滑走路22番レフトへの着陸を許可します。風向は310度で風速は19ノットです。」

 

後方乱気流

 

これが飛行機が通過後に発生する後方乱気流です。

caution wake turbulance from ~(~からの後方乱気流に注意)

デルタ165便は先に進入をしていたジェット機からの後方乱気流の影響を受けるかもしれないから、管制官は注意喚起をしたうえで着陸許可も一緒にパイロットに伝えています。

滑走路番号22番レフトというのは図で説明すると理解が早いです。

 

滑走路番号説明

 

滑走路番号は飛行の方向(角度)を表す

22番は北を0度(360度)として220度の方向に飛行機は着陸し、また220度の方向に離陸する滑走路のことを表す番号ということでRWY22(ランウェイトゥートゥー)と名前が付けられていて、RWY22の後にレフトが付いてるってことは必ずその空港にはRWY22のライトがあります。多くの空港では滑走路を増設するときに、元々ある滑走路と平行の滑走路を設計します。平行滑走路は平行でない滑走路に比べ、飛行上安全とされることから航空管制上の特例が設けられていて、それにより効率的に多くの飛行機を取り扱うことができます。

飛行機目線で進入している方向から見て右にある滑走路がRWY22R(ライト)、左にあるのがRWY22L(レフト)ということです。

 

航空管制官; Delta165 heavy, Kennedy tower, caution wake turbuolance from jet traffic 2-mile-final

最初のDelta165, Kennedy towerについては通信設定のルールです。この滑走路担当の管制官はケネディータワーという名前(コールサイン; 呼出符号)ですので、最初に相手のコールサイン、次に自分の管制席の名前(Kennedy tower)を宣言してから、伝えたい指示や許可、注意喚起のような情報を言うのが原則です。

Delta165 heavy, とコールサインの後にヘビー(重い)が付いてるのは、そのデルタ航空の飛行機がヘビーというカテゴリーに入っているからです。日本の航空管制ではこの用語自体は定められていませんが、カテゴリー区分については全く同じです。これは先ほどお話した後方乱気流についてのカテゴリー分けで、飛行機の重さによりライト、ミディアム、ヘビーと3段階に分類されています。

 

エアバス380

 

この写真は世界最大の旅客機エアバス380型機ですが、このA380は特別にスーパーというカテゴリーに分類されています。このカテゴリー分けを後方乱気流区分と言って、飛行機の大きさの違いが航空管制官が維持しなければならない飛行機と飛行機の距離に影響します。

jet traffic 2-mile-finalの説明は軽めにしておきます。jet trafficはジェットエンジン飛行機という意味で、2マイルファイナルは滑走路に向かって直進する飛行機の位置が滑走路から2マイル(1マイル=1海里で約1852メートル)のところにいる、ということを表します。そうならば、このデルタ航空165便は滑走路から6マイル以遠を飛行していなければなりません。それが後方乱気流区分を考慮した管制間隔です。同経路を同方向に飛行する飛行機の距離は、この場合4マイル取らないと後方乱気流の影響を受ける、ということを前提に作られたルールが後方乱気流間隔です。

最後の解説に参ります。

 

航空管制官; cleared to land (runway) 22L, wind 310 (degrees) at 19 (knots).

着陸許可の発出です。Clearは透明のクリアーと同じ単語に見えますが、ここでの意味は違います。

WeblioでClearを検索

・意味No.9
a〈人・船などに〉出国[入国]の許可を与える.
b〔+目的語+for+(代)名詞〕〈飛行機に〉〔離着陸の〕許可を与える.

be cleared for take off 離陸許可を与えられる.

c〔+目的語+to do〕〈飛行機に〉〈…する〉許可を与える.

JAL flight 008 has been cleared to take off. 日本航空 008 便は離陸許可を与えられた.

離陸許可のおまけ付きです。この管制官のブログにふさわしい例文がありました。

着陸許可cleared to landの後は滑走路付近に設置された計測器の風向と風速を伝えているだけです。タワーやグランドの航空管制官は風向風速をパイロットに伝える機会が多いので、この数値はいつでも確認出来る状態にしています。まとめると、

着陸許可の発出は、
飛行機のコールサイン, 滑走路名, cleared to land, wind 000 at x
(000度方向からXノットの風)

です。この場合は310 at 19なので310度方向から19ノットの風が滑走路上で吹いているということになります。

ちなみに離陸許可をこのデルタ航空のパイロットに発出するなら、

航空管制官; Delta 156 wind 310 at 19 RWY22L cleared for take off.
「デルタ航空156便、風向風速…、滑走路22番レフトから離陸を許可する。」

となります。

着陸はcleared to land
離陸はcleared for take off

今日覚えておいて欲しいのはこれだけです。航空管制の通信解説は明日も続きます。

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