航空無線

風が強いと飛行機がゴーアラウンドする理由

空港夜景デルタ航空

昨日の航空無線解説の続きです。

今日のリスニングは解説なしで聞いても理解できるパートですので、わざわざ聞きなおす必要もないくらいです。今、電車の中やカフェで暇つぶしがてら読んでいる方は、くれぐれも航空管制官とパイロットの音声のお取り扱いにはご注意ください。僕はエアバンドと呼ばれる携帯電話3台分くらいの厚みがある航空無線を傍受する受信機を持って公園を散策していたこともありますが、エアバンドから音声が流れると憩いの場に悪影響を及ぼします。こういうのはひっそり聞いて自分だけの世界に止めておきましょう。

 

航空管制官はデルタ航空165便に着陸を許可しました。

ニューヨークJFケネディー空港(4文字記号でKJFK)のタワー管制官、通称ケネディータワーが到着する滑走路に向かって降下中の飛行機から呼び込まれて、着陸許可を発出したところの続きを聞いてみましょう。数字ばっかり出てきますが実はその数字がストーリーの鍵を握っています。

なぜ、パイロットは着陸をやり直してゴーアラウンドする判断を下したのか、そこがキーポイントです。

 

 

航空管制官; Delta165 heavy, Kennedy tower, caution wake turbulence from jet traffic 2-mile-final, cleared to land 22L, wind 310 at 19.
「デルタ165便、ケネディータワー、滑走路から2マイルに位置するジェット飛行機の後方乱気流に注意して、滑走路22番レフトへの着陸を許可します。風向は310度、風速は19ノットです。」

パイロット; 310 at 19, Delta 165.
(着陸許可は了解済み、風向風速だけ復唱)

パイロット;  (Wind) Check, one more time for (DAL)165?
「風、もう一度言って、デルタ165便(のために)。」

航空管制官; 310 at 15 gust 30.
「310度から15ノットの風、最大風速は30ノット。」

パイロット;  …ah… Say one more time?
航空管制官; 310 at 15 gust 30.

パイロット; We’re gonna go around, sir.
「サー(敬称)、当機は着陸やり直しします。」

 

 

飛行機がゴーアラウンド(着陸復行)したのは何故か。

航空管制官はこの航空無線を聞く限り、飛行機に着陸やり直しの指示をしていません。ですがパイロットは自分からゴーアラウンドしなきゃ!と言わんばかりに自ら夜空へ帰って行きます。着陸復行の理由は滑走路に飛行機がいたからではありません。そういうときは管制官が自らゴーアラウンドを指示します。

ここで飛行機と風の知識が必要になります。

 

追い風、向かい風、横風、飛行機の着陸に適する風はどれでしょう。

答えは向かい風です。無風も問題ありませんが向かい風なら強い風であっても飛行機をコントロールするのは容易です。向かい風は飛行機の頭から吹く風ということでヘッドウィンドと呼びます。反対に追い風は飛行機の尾翼から吹く風なのでテールウィンドです。

横風、というのは普通は聞きなれない言葉かと思います。特にタワーの管制官目線でいうと、飛行機は最終進入で滑走路に向かって直進しながら滑走路に着陸するので、飛行機の位置を滑走路の延長線上から逸らす方向の風が横風です。英語で言うとクロスウィンドです。簡単に言えばテールでもヘッドでもないならクロスです。

 

パイロットが管制官に聞き返す風向と速度に注目!

この無線を聞く限り、パイロットは管制官の言った風の情報は理解できています。ですがあえてもう一度聞いているようです。最初に聞いたときは管制官は310 at 19と言っていました。航空業界では風速の単位としてノット(knot)を使うことになています。ノットの数値を半分にすると、一般に天気予報等で使われるメートル毎秒(m/s)です。

10knot=約5m/sなので、10m/sの風が滑走路付近では吹いているということです。しかも、この飛行機が到着する滑走路はRWY22Lなので、飛行機が直進している方向は220度です。その方向から丁度90度回った310度から19ノットの風、これぞまさに横風です。

 

パイロットは最初に管制官から風の情報を聞いた瞬間、
滑走路付近が横風、強風であることを気にしていました。

なので、何度も慎重に風を確認して横風の勢いが少しでも収まってくれれば着陸をしよう、と思いながら滑走路への直線進入を続けていたのです。そして、ゴーアラウンドをするかどうか決断をしなければならない段階まで来たので、今回は着陸を諦めて管制官にゴーアラウンドを宣言した、というのが今回の展開です。

 

まだまだ、航空無線解説は続きます。

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