航空管制官

管制塔と滑走路は大忙し!

滑走路と管制官

今回は管制塔から滑走路を眺めた場合のイメージを使い、安全で効率が良い運航とはどんなものか説明したいと思います。滑走路というのは空港広しと言えども数ある道路(?)の中でも唯一、航空機の離着陸に利用できる道路のことです。滑走路を”道路”と表現されるのに違和感ある人、ちょっと飛行機マニアの危険度高いですよ!

出発機と到着機の両方が同じ滑走路を使う場合、通常は離着陸に使用する方向を同じにしていますので、今回はその想定で考えました。大まかですが滑走路上で飛行機がどのように動いているかをスライドアニメーションで説明しています。

今後、このようなアニメーションでは共通とさせて頂きますが、青い飛行機アイコンが出発機オレンジの飛行機アイコンが到着機というイメージでご覧ください。

 


1、出発機が滑走路から出る頃に到着機が滑走路に着陸

 

ちょっと実物と比べると動きに物足りなさがあるかもしれませんが、滑走路を”道路”と称されたことに憤慨なさっておられる方にとっては、見てて飽きない癒しの逸品に仕上げがっているのではないでしょうか。

滑走路上で飛行機が取らなければならないと規定されている原則の一つが、

滑走路上に飛行機が2機存在しないこと

です。この場合の滑走路上とはまさに滑走路に接して乗っている状態を指しますので、すでに浮遊している飛行機は除いて考えても良いです。英語で言えばOn the Runwayの状態でありOver the Runwayではないということです。厳密にはそこも細かいルールがあるのですが、そこまではこのブログで説明しません。AIM-Jという日本航空機操縦士協会が出版している素晴らしい本がありますので、そちらを公式ホームページや一部の書店にてお買い求めください。

AIM-J表紙

しっかり元職場の広報活動をしつつ、次の滑走路の日常はこちらです。

 


2、到着機が着陸した後に出発機が滑走路から離陸

 

お待たせしました。ついに投稿4日目にして航空管制官が指示をするときに使う航空無線用語が出てきます。2つ目のスライドは『到着機が着陸した後に出発機が出発のため滑走路に入ることを許可され、到着機が滑走路からいなくなるまで“待って”いなくなったら出発する。』の図です。

この時、管制官は出発機を滑走路に侵入させても安全だと判断した場合、

Line up and wait.
(滑走路で待ってて)

と指示します。このラインナップを実際の出発開始前にワンクッション入れることで、出発機は離陸のための準備を滑走路内で余裕を持ってすることができますので、いきなり離陸するよりも効率良く出発できます。ところが次のシチュエーションではこのラインナップしてる間がありません。

 


3、到着機が連続着陸して出発機が滑走路に入る隙がない

 

もしこの状況で出発機が滑走路に入っていたら、正確には飛行機の先端部分が決められた停止線を越えているだけで、到着機は着陸が安全ではないためゴーアラウンド(着陸をやり直して上昇すること)しなければいけません。そこが、昨日お伝えしたパイロットに与えられた一つの裁量であり、これまた航空管制官とパイロットの間の大原則となりますが、

管制官は着陸を許可しているだけで、降りなきゃだめとは言っていないのです。逆に言えば、着陸許可を出しているからと言って危険性があると判断した場合は、パイロットはいつでも回避措置に転じて良いのです。

 

航空管制官が滑走路に入って待て、といった指示の結果は1、2分後の未来で嫌が応にも分かります。もしスライド2のように上手く行かなければ、ゴーアラウンドを指示するしかないです。誰だって自分のせいで誰かに迷惑をかけたくないのと同じように、民間航空会社に着陸やり直しさせたくないのですが、安全と効率というのはある意味究極の2項対立であり、航空管制官という職を選んだ以上は避けて通れない部分です。

 

しかしながらその避けて通れない部分に最もやりがいを感じていました。

 

ラインナップを指示するということは、

出発と到着のパイロットに対して自分が責任を持つから信じて離陸と着陸の飛行を今のまま続けてください

と、宣言することなのです。

当然といえば当然ですが、コックピットにいるパイロットだって管制官に言われるまでもなく、目で見て自分なりに到着機の前に自分が離陸できる間隔があるかどうか判断しています。なので、ラインナップの指示がきたということは、出発を担保してくれたことと同義で受け取っても仕方ありません。

 

僕は、この指示が最も管制官という仕事を端的に表している気がします。滑走路という一番みんなの緊張が高まるところで責任を持たされるわけですから。

今回はLine up and waitを紹介いたしました。

では、また明日。

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